2024年5月初旬に大山阿夫利(おおやまあふり)神社に行ってきましたので、周辺散歩ルートとともにご紹介します。
動画にまとめたものはこちらからどうぞ。
大山阿夫利神社について
大山阿夫利神社は、大山という関東総鎮護の霊峰とされてきた山の中にあります。
創建は2200年以上前といわれています。
大山は雲や霧を生じやすかったことから「あめふり山」と呼ばれ、そこから「あふり」といわれるようになったそうです。
場所
神奈川県伊勢原市に位置しています。
大山阿夫利神社は、「大山(おおやま)」という山の中にあります。下社と本社があり、下社は山の麓からケーブルカーで行くことができます。本社まで行くには山登りが必要です。
ご祭神
大山阿夫利神社の神さまは、三柱です。
・大山祗大神(おおやまつみのおおかみ)
・高龗神(たかおかみのかみ)
・大雷神(おおいかづちのかみ)
マメ知識 ~神様に寿命ができた話~
大山祗大神は、その名の通り山の神さまです。大山津見神(おおやまつみのかみ)と書くこともあります。
大山祗大神には二柱の娘がいます。木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)という美しい神さまと、お姉さんの石長比売(いわながひめ)という神さまです。
大山祗大神は、ニニギノミコトという神さまにこの二人の娘を嫁がせました。しかしニニギノミコトは見た目の醜い石長比売を送り返してしまったのです。それに怒った大山祗大神は、「娘二人を一緒に嫁がせたのは、石長比売を側に置けばあなたの寿命は永遠に変わることなく盤石となるからだ。そして木花之佐久夜毘売を側に置けば、桜の盛りのように栄華を極めるだろう、と思ってのことだった。しかし石長比売だけを返してきたということは、あなたの命は花のようにはかなくなることでしょう。」と言いました。それで神さまに寿命ができるようになり、その子孫である天皇にも命に限りがあるようになった、といわれています。
マメ知識2
高龗神の「龗」は、「水・雨を司る龍神」という意味です。高龗、というと山の雨水を司る神様を表します。「龗」という字は神社に興味が出てくると時折出てくるので、覚えておくと便利かもしれません。
訪れた理由
特別な理由があったわけではありませんが、大山阿夫利神社の存在は知っていて、いつか行きたいなと思っていました。
しかしここ1~2週間でやたら「大山阿夫利」の文字を見かけるようになったのです。マンガを読んでいたら大山阿夫利神社が出てきたり、たまたま見たYouTubeで大山阿夫利神社の映像が出てきたり(内容は全く大山阿夫利神社とは関係がないのに)、スーパーで豆腐を買おうと思ったら「大山阿夫利」の豆腐を発見したり(買いました)、、、普段生活していて「大山阿夫利」という言葉に遭遇することはめったにないので、何か呼ばれているのではないかと思って急遽行くことにしました。
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今回のルート
大山の標高は、1,252メートル。山の麓から登ることもできるのですが、登山初心者の私にはちょっとハードルが高かったため、ケーブルカーを使って山の途中まで上がり、大山阿夫利神社下社に参拝し、そこから登山をして山頂の大山阿夫利神社 本社まで行くことにしました。
伊勢原駅をスタートし、まず伊勢原大神宮へ立ち寄ってから、大山に向かうルートで計画しました。
【今回のルート】
伊勢原駅 スタート
▼ 徒歩(12分ほど)
伊勢原大神宮 ⛩
▼ バス(30分ほど)
大山ケーブル駅
▼ ケーブルカー
阿夫利神社駅
▼ 徒歩(5分ほど、階段あり)
大山阿夫利神社 下社 ⛩
▼ 登山
大山阿夫利神社 本社 ⛩
▼ 下山
阿夫利神社駅
▼ ケーブルカー
大山寺
▼ 徒歩
大山ケーブル駅
▼ バス
伊勢原駅 ゴール
では、行ってみましょう。
伊勢原駅
小田急線 伊勢原駅から出発です。伊勢原駅から直接バスで大山を目指す場合は、伊勢原駅の階段を下りてそのまままっすぐ歩いてすぐのところにバス停があります。
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今回は伊勢原大神宮に立ち寄るので、ここではバスは乗らずに伊勢原大神宮方面へ歩きます。伊勢原駅を出てすぐのところに大山阿夫利神社の鳥居があったのですが、気がつかず別の道を通っていきました。
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しかもこの鳥居、一の鳥居だと思っていたのですが、違うようです。一の鳥居はなんと藤沢市にあるそうです。大山阿夫利神社とは27kmほども離れています。
伊勢原大神宮
伊勢原大神宮へ歩いて行きます。
この地はもともと江戸時代に、伊勢出身の人が開墾しました。そして、この地に伊勢の神宮の神さまを勧請(神さまの御魂を分けてもらうこと)し、神社を創建しました。このことから「伊勢原」と呼ばれるようになったそうです。
途中に大山が見えて、テンションが上がります。
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伊勢原大神宮へ到着しました。
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マメ知識
「○○大神宮」という名前の神社には、日本の神さまのリーダー的存在、天照大御神(あまてらすおおみかみ)がお祀りされています。こちらの伊勢原大神宮もそうですし、例えば東京だと千代田区の「東京大神宮」、港区の「芝大神宮」も天照大御神がお祀りされています。
「皇大神宮」「皇大神社」なども同様で、例えば横浜の「伊勢山皇大神宮」も天照大御神がお祀りされています。(一部例外あり)
伊勢の神宮には「内宮」と「外宮」があり、それぞれ「天照大御神」「豊受大神(とようけのおおかみ)」がお祀りされています。「大神宮」とつく神社は伊勢の神宮に由来する神社のため、天照大御神と一緒に豊受大神をお祀りしているところもあります。
伊勢原大神宮は内宮と外宮のお社がある、珍しい神社です。習わしに従って外宮から参拝します。
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続いて内宮を参拝します。
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境内には藤原氏の祖神、天児屋根命(あめのこやねのみこと)をお祀りする春日神社もあったので参拝しました。私は「サトウ」という名前ですが、佐藤は藤原氏から派生した名字ということで、もしかしたらご先祖の神さまなのかも?(違うかもしれませんが)と思って春日神社があればご挨拶するようにしています。
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他には稲荷神社もあります。
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では、次はバスに乗って大山に向かいます!
大山ケーブル駅
次はバスで大山ケーブル駅へ向かいます。伊勢原大神宮前から「大山ケーブル」行きのバスに乗ります。
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マメ知識 ~お得なフリーパス~
小田急線と大山ケーブル駅までのバス、そしてケーブルカーを使用する方は、Emotという小田急が運営するサイトでデジタル丹沢・大山フリーパスを購入すると乗車料金がお得になります(当日でも購入可)。
小田急線では、改札にQRコードをかざす機械が設置されているので、そこにQRコードをかざして出入りします。
バスでは、降車時に運転手さんにQRコードを見せればOK。
ケーブルカーでは、乗車時にQRコードを係の人に見せたらOK。
大山阿夫利神社 下社
「大山ケーブル」でバスを降りたら、ケーブルカー乗り場まで15~20分ほど歩きます。階段も割と多い道です。
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ケーブルカーを降りて先に進むと、ちょっと長めの階段があります。ここを登り切れば大山阿夫利神社 下社に到着です。
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手前には山の上で使用される飲料を運ぶ人が。この人たちのおかげで私たちも山で飲料を買ったり、ご飯を食べたりできるわけですね~
大山阿夫利神社 下社に到着です。
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見晴らしも抜群です!
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登山を始める前に、浅間社があったので参拝しました。
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マメ知識
浅間社では、冒頭のマメ知識でご紹介した木花之佐久夜毘売(此花咲耶姫)がお祀りされています。
木花之佐久夜毘売といえば、富士山本宮浅間大社という神社にもお祀りされている、富士山の神社の神さまです。
ここ大山には木花之佐久夜毘売の父、大山祗大神が祀られていることから、古来から大山と富士山は「父子の御山」として崇められているそうです。
昔(江戸時代でしょうか?)は大山と富士山、両方を参詣する「両参り」が盛んだったそうです。
いざ登山
下社での参拝を終え、いよいよ登山です。
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いきなり急な階段で洗礼です。
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登山初心者のため、休憩しながらゆっくり上ること約一時間。富士見台、という富士山が見えるスポットがありました!
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私は実はこうして富士山を見るのが初めてでした。雪が残っていてまさに富士山!という感じの風景でした。いや~これは感動でした。江戸時代の人が浮世絵で残す気持ちがわかります。
その後30~40分で頂上に着きました!
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大山阿夫利神社本社には、前社、本社、奥社があります。最初に見えてくるのが前社。
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前社から少しだけ階段を上がった場所に本社があります。
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そして、本社に向かって右の階段を上がると奥の院があります。
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三社とも参拝を済ませ、山頂標識を撮影。
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登り切った達成感みたいなものが意外となく、山に溶け込んだような気分でした。
お昼ご飯を食べて、下山します。来た道を戻らず、「見晴台」を経由したルートで大山阿夫利神社下社へ戻ります。
「行きはよいよい帰りはこわい」といわれるように、登頂時は「意外と登山余裕じゃん♪」と思っていた私ですが、下山では足に負担がかかり、最後の方は足がプルプルでした。
でも景色は存分に楽しめました。
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途中に神社や滝がありました。下の写真は「二重社」。ここに高龗神がお祀りされているそうです。
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この神社から数分歩くと、大山阿夫利神社 下社に到着します。
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無事に戻ってきました!
下山途中、「登りの二倍くらい歩いてないか?」と後ろの人が話しているのが聞こえましたが、私もそう感じました。下山で通った道の方がおそらく距離が長く、途中鎖につかまって降りるような道もありました。そこまで危険ではないのですが、帰りは足も疲れており、余計に長く感じたのかもしれません。
大山寺
この後はケーブルカーを利用して、「大山ケーブル」駅まで戻る予定だったのですが、せっかくなので途中の「大山寺」に立ち寄りました。
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足がすでにプルプルでしたが、ここからなぜか徒歩で下山することに。大山寺を下りていくと、女坂の七不思議のいくつかを目にしました。
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往路で通った参道に無事に戻ってきました!
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あとはまたバスに乗って、伊勢原駅に戻りまして、小田急線を利用して帰宅しました。
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あとがき
急に大山阿夫利神社行きを決めましたが、登山初心者で登れるかどうかちょっと不安もありました。無事に到着できてよかったです。神社も、景色も素晴らしかったです。山登りせずとも、下社だけでも行く価値は十分ありますよ~
山は、神社があるところが多いですよね。もともと日本人は古来から自然に神さまを見出し、山や岩などを信仰の対象にしてきました。それがお祭りや神社の始まりです。今でも山や岩自体がご神体の神社は残っています(奈良県の大神神社などが有名です)。
そのため、私も昔の人の気持ちになって「山に入らせてもらう」「自然に感謝する」という気持ちで登らせていただきました。
昔、もっと若かった頃にどこかの山を登ったときにはそんなことは全く考えず、「頂上についてやったぜ」という気持ちだったと思います。今回は大人になったせいか、とにかく感謝の気持ちを持てたことで心穏やかな登山となりました。
私は自然と触れ合うことを長い間していませんでした。自然の中に行きたいとも思いませんでした。虫も嫌いでしたし・・・しかし、そんな時は心がとてもすさんでいました。自分のことも大嫌いでした。
ところが、自分を大切にする生活を心がけるようになり、そのうちになぜか神社参拝をするようになって、考えが180度変わりました。神社はどこもだいたい森があります。都会の神社でもちょっと小高いところにあったり、木が植えてあったりして、ちょっとした自然を楽しめるようになっています。そのせいか、神社参拝を続けるうちにもっと自然の中に身を置きたい、自然に埋もれたい、という気持ちが芽生えるようになりました。
それで今回、大山に導かれたのかもしれません。今まで神社参拝は街中(平地)中心でしたが、今後は山の中の神社にも進出し始めそうな予感です。
なんだか少しずつ自然に還っていく、そんな気がしています。そして、そのような人が今後増えていくのかもしれません。
今を生きる私たちも、スマホやあらゆるテクノロジーを捨てて原始的な生活に戻るということではなく、現代のやり方で自然と共生していく。自然に寄り添った優しい人たちが増えて世界が変わってくる、そんな時代がこれから来るのではないかなと勝手に思っています。
縄文時代など古来は、自然と人間が調和した、とても平和な時代だったといわれます。古代の生活って実は古いようで、最先端なのかもしれません。
私たちは、もっと平和に豊かに生きられるようになる。そんなことを想いました。
最後に、もし山の中の神社に行ってみたい、だけどいきなり山登りはハードルが高い、という人には、以前横須賀の記事に載せました「走水神社」「東叶神社」「安房口神社」がおすすめです。
「走水神社」「東叶神社」「安房口神社」は数十メートルの山なので、スニーカーで数分で気軽に登れる山に囲まれた神社です。ここでも十分に神社の清々しさと、自然が堪能できました。ご興味があれば、是非行かれてみてください♪
次はどんな新しい自分と日本を発見できるかな。
参考
動画で紹介した本
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