こんにちは。サトウです。
今日の雑談は【神話を知ると、参拝は100倍楽しい~古事記 上巻その1~】です。
前回はざっくりとした神話(古事記)の流れをご紹介しました。
そして古事記は上巻、中巻、下巻から構成されているとお話ししましたが
今日は上巻をもう少し詳しく説明していきます。
上巻では、世界と神々の誕生から初代天皇である神武天皇の誕生までが描かれています。
世界の始まりと神々の誕生
古事記ではまず世界が誕生し、そこに神さまが次々と現れます。
日本神話では、唯一絶対の神さまが世界を創造したのではなく、天地が存在したところに神さまが現れます。
日本神話の神さまには全知全能の絶対神はいません。
日本の神さまは、いわゆるキリスト教などの「神」とは意味が違うといえます。
キリスト教などでは「神」といえば天と地を創った創造主。全知全能の絶対神ですね(一神教)。
日本語では一神教の絶対的存在の神様も、日本の神さまも同じく「神」と訳されてしまうので、混同されがちですが根本的に異なるものと考えた方がよいかと思います。
さて、日本神話では神さまがたくさん登場します(多神教)。
では一番初めに現れたのは、どの神さまでしょうか?
古事記の冒頭部分(天地開闢の冒頭?)には、こう書かれています。
天地初めて發けし時、高天の原に成れる神の名は、天之御中主神。
つまり、天と地ができた最初の時に宇宙に生まれた神様は、「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」という神さまですよ、といっています。
天之御中主神は大宇宙の中心の神さまなのです。
ちなみにですが、天之御中主神は「妙見菩薩」「妙見さま」などと言われます。
日本にはもともと神道が存在していて、その後仏教が伝来するのですが、神道と仏教は互いに混ざり合っていくんですね(神仏習合)。
それで宇宙の中心とされる天之御中主神と、宇宙の中心である北極星の仏様である妙見菩薩が同一視されたようです。
実際に、鹿児島県には「天之御中主神神社」という神社があるのですが、表記が『天之御中主神社(妙見神社)』となっています。
天之御中主神社さんのウェブサイトでご祭神の表記を確認すると、こちらも天之御中主神(妙見様)と書かれています。
二つの異なる宗教が、歴史的に対立もあったでしょうが、今日まで共存しあっているというのは日本ならではであり、良さでもありますよね。
話を戻しますと、天之御中主神が現れた後には以下の二柱の神様が現れます。
・高御産巣日神(たかみむすびのかみ)
・神産巣日神(かみむすびのかみ)
天之御中主神とともに造化の三神といわれています。
ちなみに造化の三神がお祀りされている神社で私が真っ先に思いつくのは東京大神宮。
東京大神宮には
・天照大御神(あまてらすおおみかみ) ←伊勢の神宮の内宮の神さま
・豊受大神(とようけのおおかみ) ←伊勢の神宮の外宮の神さま
・造化の三神(天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神)
・倭姫命(やまとひめのみこと)
がお祀りされています。
余談ですがちなみに東京大神宮だけでなく「大神宮」と名前のつく神社には、天照大御神がお祀りされています。
東京でしたら芝大神宮、神奈川でしたら伊勢山皇大神宮、千葉でしたら船橋大神宮、などがありますが全て天照大御神をお祀りしています。(天照大御神だけでなく、他の神さまも祀っていることがありますが、主祭神は天照大御神です)
ちょっと脱線しましたが、造化の三神が現れた後も次々と神さまが現れます。
その中に、日本の国土とたくさんの神さまを生んだ「伊邪那岐命(いざなぎのみこと)」と「伊邪那岐命(いざなみのみこと)」という夫婦神が含まれます。
その他の神さまはちょっとマイナーであることと、名前を出すと難しくなってきてしまうため、ここでは割愛します。
国生み・神生み
伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)が国土と神さまを生みます。
神話は次に伊邪那岐命と伊邪那岐命が登場します。
(漢字が紛らわしいので、ここでは伊邪那岐命⇨イザナギ、伊邪那美命⇨イザナミと記載します)
この夫婦には子どもができるのですが、その子はうまく育ちませんでした(手足が不自由であった?)。
なので、船に乗せて海に流し去ったそうです。(え?)
この子は水蛭子といいますが、
後に海の守り神となり、恵比寿神として崇められるようになった、といわれています。
その次に生まれた子も、あわあわとして実体のない島(淡島)でしたので、どうして生まれた子がうまく育たないのかと天上の神さまに尋ねたところ解決策が見つかり、無事に今の淡路島を生みました。
ということで日本で一番初めにできた島は、淡路島です。
次に四国を生みます。
伊予国を愛比売(えひめ)
讃岐国を飯依比古(いいよりひこ)
阿波国を大宜都比売(おおげつひめ)
土佐国を建依別(たけよりわけ)
といいました。
愛媛は古事記の時代から「えひめ」という名前を持ち続けているのです。
それからまた次々と日本の国土を生みます。
そして国土を生んだ後は、たくさんの神さまを生みます。
例えばですが、元寇の際に神風を吹かせたといわれる「志那都比古神(しなつひこのかみ)」を生んだり、
山の神さま「大山津見神(おおやまつみのかみ)」などを生みます。
さてそうして順調に神さまを生んでいったイザナミですが、火の神さまを生んだ際、やけどを負って亡くなってしまいます。
伊邪那岐命、黄泉の国へ
イザナギから、最も貴い神さまが生まれます
愛しい妻を失ったイザナギは、その原因となった火の神さま(迦具土神)を斬って殺してしまうのです。
そして妻の後を追って黄泉の国に行き、イザナミに戻ってくるよう言いました。
イザナミは「黄泉の国の食べ物を食べてしまったので、戻れません。けれどあなたが迎えに来てくれたので、帰りたいと思います。この国の神さまに相談しますから、その間決して私を見ないで下さい」といいます。
見ないで下さい、といわれたら、たいてい見ますね。
イザナギも、待ちかねた挙句、のぞき見してしまったのです。
すると、恐ろしい姿になったイザナミがそこにいたのです。
その姿を見たイザナギは元の世界へ逃げ帰ることとなったのです。
そして、穢れた国に行ってしまったということで念入りに禊をします。
禊の際に、様々な神さまが生まれます。
投げ捨てた杖や衣・袴から神さまが生まれたり、垢や穢れを洗い流したときに生まれた神さまもいます。
日本の神さまって不思議な生まれ方をするものですが、穢れを祓って元の清らかな状態に戻ったときに生まれるのではないかと思います。
そして、、
禊の最後に、最も貴い三貴子と呼ばれる神さまを生みます。
それが
・天照大御神(あまてらすおおみかみ)
・月読命(つくよみのみこと)
・建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)
です。
それぞれイザナギが左目・右目・鼻を洗ったときに生まれた神さまです。
天石屋戸事件
乱暴な建速須佐之男命を怖れた天照大御神は、天石屋戸に隠れてしまう
三貴子はそれぞれイザナギからお役目を言い渡されます。
天照大御神は高天原、つまり天上の世界を治めるよう言われます。
月読命は夜の世界を治めるよう言われます。
そして建速須佐之男命は海原を治めるように言われます。
(ここでは建速須佐之男命⇨スサノオ、と記載します)
しかしスサノオだけは母親に会いたくて仕事をせず泣きじゃくっていたといいます。
それでイザナギが怒ってスサノオを国から追放してしまいます。
そこでスサノオは天照大御神のいらっしゃる高天原へ向かいます。
天照大御神はスサノオを警戒し、武装して待ち構えます。
スサノオは潔白を証明するために、子どもを生むことを提案しました。
子どもを生む、といってもそれぞれの持ち物を好感して、その物から神さまを生みます。
天照大御神はスサノオの剣(十拳剣)を三つに折ってかみ砕いて女神を三柱生みます。
スサノオは天照大御神の勾玉をかみ砕いて男神を五柱生みます。
それから、スサノオは自分の勝利を宣言し(どうして勝ちといえるのかちょっとわからないのですが)、高天原で暴れ回ります。
そのうちに服織女が怪我をして死んでしまったこともあり、天照大御神は怖れて天石屋戸に身を隠されました。
そして世界が真っ暗になってしまったのです。
須佐之男命の追放
世界が真っ暗になり、さあ大変。
他の神さまたちはどうしたかというと、話し合いです。
皆が役割分担をして、協力して解決しようとするのです。
鏡を作る神さま、祝詞を奏上する神さま、踊りを踊る神さまが登場します。
踊りを踊ったのは天宇受売命(あめのうずめのみこと)という女性の神さま。
胸をはだけて舞い踊ったため、大盛り上がりしていたとか。
そうして盛り上がっていると、天照大御神は「私が隠れてしまったのに、どうして楽しそうにしているのか」と戸を少し開けて外の神さまに話しかけます。
アメノウズメノミコトは「あなたさまより貴い神さまがいらっしゃったのです」と言い、別の神さまがそこに鏡を差し出すと、いよいよ怪しんだ天照大御神は身を乗り出してきます。
そこで力持ちの天手力男神(あめのたぢからおのかみ)が天照大御神の手を取って引き出しました。
こうして天上も地上も無事に明るくなり、秩序が回復したといいます。
その後、神さまはこの事件を重大なものと考え、スサノオを高天原から追放するのです。
八岐大蛇退治
追放されたスサノオは出雲国に降りました。
そこで、娘を囲んで泣いている老夫婦(神さま)を発見します。
わけを尋ねると、「もともと八人娘がいたのだが、八岐大蛇に食べられてしまった。今年もその時期になったので泣いているのです」と答えます。
そこでスサノオは、この生き残っている娘を妻にしたいといいます。
老夫婦はスサノオが天照大御神の弟神であることがわかると、これに承諾します。
そして八岐大蛇退治に挑み、無事に八岐大蛇を退治するのです。
このとき八岐大蛇をずたずたに斬り放つのですが、尾の方を斬ったときに何かが当たります。
怪しいと思って裂いてみると、立派な大刀が出てきたといいます。
これを天照大御神に献上するのですが、これが三種の神器の一つ「草薙剣」(草那芸の大刀、天叢雲剣ともいう)です。
その後、須佐之男命はこの老夫婦の娘(櫛名田比売)と結婚し、住むところを探して須賀(島根県)に行きつきます。
そして「吾此地に来て、我が御心すがすがし」(ここに来て、とてもすがすがしい気持ちがする)といって、そこに宮殿を建ててお住まいになられたといわれています。
それで、その地は「須賀」といわれるようになったそうです。
その地には日本初の宮として「須我神社」があります。
また、『君の名は。』というアニメで東京四つ谷にある須賀神社の坂が話題になったそうですが、「須賀神社」というからには須佐之男命がお祀りされています。
他の全国の須賀神社も、今の話から分かるように須佐之男命がお祀りされています。
あとがき
さて、古事記上巻はまだ続きますが、長くなってきたので今日はこの辺にしておきます。
次回は出雲大社の神さま、大国主命のお話です。
そういえば、日本神話は単にストーリーを知るだけでもおもしろいのですが、、、
結局何を言いたいのか、その「こころ」がわかると自分の心も持ちようまで変わってきます。
私は古事記のこころという本で、古事記を単なるストーリーとしてだけでなく、どうして神さまはこの時この行動をとったのか、という”こころ”がわかってきます。
そして、今後日本人としてどのように神話を自分の中に生かして、どのように日本人らしく生きるかを学びました。
小野善一郎さんという、渋川八幡宮の宮司さんの書かれた本です。
例えば、私は須佐之男命が天石屋戸事件で追放された後、どうして急に神さまを助けようと思ったのか不思議でした。
あれだけ乱暴な神さまだったのに、そんな急にいい神さまになるの?
と思っていたのですが、それは追放後、須佐之男命が苦労して苦労して、我欲我見の心を祓って、元の清らかな心を取り戻したからだとわかりました。
日本神話では、神さまも常に自分の心が清らかであるように、常に祓いをしているのです。
リーダー的存在、天照大御神でさえも祓っているのだといいます。
そして私たちも、本当は清らかな、完璧な存在。
だけれども、生きているうちにどうしても傲慢な心・嫉妬の心などが生まれて、心が曇ってしまう。
でもそうなったのならば、祓ってしまえばいいのだ、ということを教えてくれました。
私は神道の「人は本来完璧な存在」という考えにとても救われました。
今の自分を卑下してしまい、ちっぽけな存在と思うのであれば、それは本来の自分の姿ではないのだ。
自分はもう必要なものを持っていて、それが見えないのは自分の心が邪魔しているだけなのだ、と思い出すことができるから、昔のように自分を蔑ろにしなくなりました。
こうして、神道の考えに出会ったことで、時間をかけて自己肯定感を育むことができるようになりました。
誰しも、皆清らかで完璧な存在なんですよ。
だから、今苦しい人も、きっと大丈夫。
ということで長くなりましたが、また続きをいたしますね。
今日もありがとうございました!
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